安定志向でも、インスタ発ブランドを立ち上げ。「副業」だからこそ挑戦できたこと。

佐藤 涼実 @suzumi_sato
1994年12月24日、東京都生まれ。
大手IT企業でwebデザイナーとして働く傍ら、2018年に副業でファッションブランドlourenを立ち上げ、ディレクターを務める。
[louren(ローレン) サイト] https://louren.jp/

副業で立ち上げたインスタ発のブランド「louren」

Instagram におけるアパレルマーケティングの簡略化が日を追うごとに進む昨今、Instagram発祥のファッションブランドが若者から絶大な支持を得ている。

佐藤涼実さんが大手IT企業で働きながら立ち上げたブランド、「louren」もそのひとつだ。佐藤さんは、ブランドディレクターを務めている。

インスタ発祥ブランドとして注目を浴び、「好き」を仕事に誰もが羨むキャリアを歩んでいるように思えるが、実は超現実主義で安定志向だったという。

会社員としての安定と憧れのブランドディレクターの仕事、その間で揺れていた佐藤さん。後悔しないキャリア選択を後押ししたのは、「副業」だった。

louren popup

キラキラは不得意。慎重な性格から、当時抱いていた不安

学生時代から、インスタグラムのフォロワー数が多かった佐藤さん。大学卒業を機に、「ブランドの立ち上げに興味はない?」と誘いを受けた。しかし、佐藤さんは、現実主義な性格と本業との両立への不安からその依頼を断ってしまった。

私自身、キラキラからは遠い存在です。他人から言われて何か新しいことを始めるのは、時に責任逃れもできてしまいます。絶対的な安心がないと前に進めない性格なので、一度お断りしました。」

挑戦してみたい気持ちはあったものの、既に就職先も決まっており、ブランドの立ち上げは怖くて踏み出せなかったという。

後悔はしたくない

一度は誘いを断ってしまったものの、幼少期から最もお金をかけていたのが洋服だったというほどのファッション好きだったため、心残りもあった佐藤さん。

就職当時、本業であるWebデザイン業務を覚えることに精一杯であったが、2年目からは生活スタイルも確立し、日々の業務もある程度理解できるようになった。本業の土台が整ってきたタイミングで、ブランド立ち上げについても考える余裕も生まれた。

大企業というひとつの大きな働く軸があり、副業も許されている環境にある。

自分の働く環境を改めて振り返った時に、「今やらなかったらいつか後悔する」という想いも徐々に強くなっていた。

慎重な性格から、軽々しくできることではないという意識はあったため、人からの依頼ではなく、自分の意思でブランドの立ち上げを決断し、自ら声をあげた。

副業としてスタート。理想と現実とのGap

当初はあくまでも副業として始めたので、本業に支障をきたさないことが大前提。

とはいえ、覚悟を決めたからこそ、中途半端にしたくはない。lourenスタッフにとってみれば、佐藤さんの本業など、もちろん関係のないことだ。

ディレクターの仕事は、“好きなものを形にする”こと。

細かなビジネスサイドはもちろん、お金がどこで回っているのか、アパレルの知識、服を作る工程などを理解していないと、マネジメントや現場ともめやすくなってしまう。

「これも性格上ですが、全てにおいて自分の目で確認しないと不安で不安で・・笑 

私はすべてにおいて未知だったので、現場に出て、その知識のなさに苦労しました。立ち上げて約1年、今でも絶賛苦戦中です!」

また、ブランドを始める前は「もっとこうしたい、こんなものが作りたい」と頭の中では多くの引き出しがあったはずが、いざ具象化しようとすると形にならず、葛藤した佐藤さん。

センスがないのでは…とまで思い悩んだこともあり、頭では分かっていたものの、現実は想像よりも遥かに大変だったという。

しかし、周囲のスタッフに助けられながら、欲張らず、ひとつ、またひとつと片付けていき、佐藤さんは徐々に変化していった。

以前は何か決めるのに時間がかかっていたが、決定権がある分、ディレクターの段階で止まってしまうと、ブランド全体が止まってしまうことに気づき、行動を改めた佐藤さん。

「ディレクターとして沢山叱られたこともありました。もちろん悩む時もありますが、ずっと立ち止まるのは違うなと思えるようになりました」

さらには、人を惹きつけるやり方も考えるようになったという。

「以前は、誰かに相談することがあまりありませんでした。しかし、それでは気づいたら周りから人が離れていき、ブランドも単なる自己満足で終わってしまいます」

これまでも組織には携わってきたが、先頭に立つタイプでなく、誰かについていく属性だった佐藤さん。今、初めて自分が先頭に立って周りを巻き込んでいく経験をし、自分の発言や取るべき行動を都度考えるようになったという。

「日頃社内では大きな組織の一員として働いている分、人との関わり方を学ぶ環境が十分にあります。身近な上司はもちろん、周囲の同僚や後輩との関係性など、人間観察をよくするようになりました。もちろんlourenとは組織の規模が違いますが、本当に勉強になるし、とても良い経験をしているなと日々感じています。」

「好きだから」だけではない。走り続けられる理由

佐藤さんにとって、一番の原動力は「お客様の声」だ。

Instagram発祥ブランドのため、基本はECサイトでの販売のみ。

だが、ポップアップストアで顧客とリアルに触れ合える瞬間や、全てに目を通しているというInstagramのコメントやDMのメッセージが、大きなやり甲斐だと言う。

「自己満足では、ブランドは成長しないということもわかりました。

 身近な人や出会ったお客様に『かわいい』と言ってもらえるのが一番嬉しいですし、原動力となっています」

最近では、副業でのWワーカーという自分の強みも見い出せた。

「インスタグラムや流行に敏感な若い人の気持ちはもちろん、オフィスで働いている分、OLさんの気持ちもよくわかります。ダブルワークしていることによる人脈の幅広さによって、その二者を理解できることは自分の強みとなっています」

lourenはあえてターゲットを絞らない。誰もが着られ、誰もが似合うものを、自身の強みを使って、今後も展開していきたいと話す。

2018年からスタートしたlourenだが、インスタグラムのフォロワー数はすでに4万人。

今年の6月には、都内での初めてのポップアップストアも開催。成長をし続けている佐藤さんに、今後について伺った。

「lourenの仕事は、副業で収まりきらない規模にまできています。正直、今はいっぱいいっぱい…。

いずれは、独立も視野に入れています。

 一番の原動力はお客様に喜んでいただくことなので、さらにお客様と触れ合える機会をもっと増やしたいですし、地方へも行きたいですね。駆け出し当初はリアル店舗を出したいと野望を抱いていたのですが、そう簡単に大きなことができない現実も知りましたし、まだそんなビックなことが言える程、努力できていないです。笑

まだまだこれから。

ひとつずつ丁寧に、でもスピーディーに。まずはもっとlourenを知ってもらえるよう、場数を踏んで成長していきたいです。」

安定した軸がひとつあるなら、挑戦しない理由はない

「本業というひとつの軸があるなら、副業など新たな挑戦をしてみてもいいと思います」

その性格上、当初は石橋をたたいて安全な方へという思考だった佐藤さんが、後悔せず好きを貫くキャリアを選択する手助けをしたのが、副業だった。

「副業できる環境にあるのに挑戦しない理由はないし、そのまま踏みとどまっているのはもったいないと、今では思える」という。

また、本業ではできなかった自身の成長も語ってくれた。

やりたいことがあり、モヤモヤしている。しかし、なかなか一歩踏み出せない。

そんな方は後悔する前に、「副業」として実現する方法を考えてみては?

※佐藤さんは2020年から独立されております。取材内容は2019年9月時点のものです。